法テラス3つの利用条件とは?資力基準(要件)を中心に弁護士が解説

伊澤文平

監修者伊澤文平弁護士

ベンゴシNOW法律事務所

公開日:2023.12.04

|

最終更新日:2024.02.07

法テラス3つの利用条件とは?資力基準(要件)を中心に弁護士が解説

法的なお悩みを抱え、弁護士に無料相談できる手段をお探しのことでしょう。

「法テラス」があることを知り、その利用条件は何か、どうしたら利用できるのか気になっているかと思います。

結論、法テラスには利用条件が3つあり、そのうち「資力基準(資力要件)」というお金にまつわる条件が大事です。

あなたの収入や資産が一定の基準値(資力基準)を下回る必要がありますが、その計算方法や考え方には独自のルールがあります。

そこで今回は法テラスの利用条件、特に資力基準を中心にその内容と考え方をどこよりもわかりやすく解説してきます。

【この記事でわかること】

  • 法テラスの3つの利用条件のうち1番大事なのは「資力基準」であること

  • あなたが「資力基準」をクリアしているのか否か

  • 無料相談にとどまらない法テラスのメリット

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1.法テラスと利用条件の概要

法テラスとは

法テラス」とは、簡単にいうと、お金がない人でも法律サービスを受けられるために、国が設立した総合案内所です。

1)法テラスのサービス

法テラスは、お金がない方でも弁護士にアクセスできるようにするためのサービスのため、弁護士にまつわる費用が無料ないし安くなります

具体的には以下3つのサービスを利用できます。

  • 弁護士に無料で法律相談できる

  • 弁護士費用がおおむね半額になる

  • 弁護士費用を立て替えてもらえる

法テラスの無料相談を含め法テラスで無料できること・できないことについて詳しく知りたい方は、こちらの記事をあわせてご覧ください。

2)法テラス3つの利用条件

法テラス3つの利用条件(資力基準を中心に)

法テラスのサービスを利用するためには、法テラスが用意する3つの利用条件をクリアする必要があります。

  1. 資力基準(要件)

  2. 民事法律扶助の趣旨に適すること

  3. 勝訴の見込みがないとはいえないこと

この中でも1番大事な利用条件は「資力基準(資力要件)」です。

それ以外の条件は、積極的な証明が不要なため、法テラスを利用する際にはあまり気にしないでOKです。

以下では「資力基準」を中心にその内容を解説します。

なお、資力基準ではなく、資力要件という言葉が使われることもありますが、これは誤りです。

正しくは「資力基準」なので注意しましょう。

2.資力基準とは

法テラス資力基準(資力要件)

法テラスを利用するためには、あなたの収入と預貯金等の合計金額が一定の基準を下回っている必要があります。

これを「資力基準」といいます。

資力基準は二つの要素からできており、それぞれの金額が一定の基準を下回っている場合に資力基準は満たしたものとされ、法テラスを利用できます。

  • 収入要件:収入の金額が基準を下回る

  • 資産要件:現金と預貯金等の金額が基準を下回る

下記の表は、収入要件と資産要件をまとめたものです。

この表の中からあなたが該当する場所(マス)を見つけます。

あなたの収入(収入要件)と、現金及び預貯金等の金額(資産要件)が、そこに書かれた金額を下回っている場合には法テラスを利用できます。

以下ではこの表の読み方や、収入要件・資産要件それぞれの考え方についてわかりやすく解説していきます。

【資力基準】

​​東京23区

同居の家族

手取り収入

家賃or住宅ローン

の負担がない場合

手取り収入

家賃or住宅ローン

の負担がある場合

資産要件(預金など)

単身者

20万200円以下

25万3,200円以下

180万円以下

2人家族

27万6,100円以下

34万4,100円以下

250万円以下

3人家族

29万9,200円以下

38万4,200円以下

270万円以下

4人家族

32万8,900円以下

42万900円以下

300万円以下

​​東京23区以外の「生活保護の一級地」

同居の家族

手取り収入

家賃or住宅ローン

の負担がない場合

手取り収入

家賃or住宅ローン

の負担がある場合

資産要件(預金など)

単身者

20万200円以下

24万1,200円以下

180万円以下

2人家族

27万6,100円以下

32万9,100円以下

250万円以下

3人家族

29万9,200円以下

36万5,200円以下

270万円以下

4人家族

32万8,900円以下

39万9,900円以下

300万円以下

上記以外の地区

同居の家族

手取り収入

家賃or住宅ローン

の負担がない場合

手取り収入

家賃or住宅ローン

の負担がある場合

資産要件(預金など)

単身者

18万2000円以下

23万3,000円以下

180万円以下

2人家族

25万1000円以下

30万4,000円以下

250万円以下

3人家族

27万2000円以下

33万8,000円以下

270万円以下

4人家族

29万9000円以下

37万円以下

300万円以下

1)収入要件について(所得制限)

法テラスの「収入要件」

①収入の計算方法

所得制限としての「収入要件」について、まずは、あなたが勤め先から毎月受け取っている「収入(給料)」の金額を計算します。

この「収入」の計算は、以下3つの視点から行います。

  • 額面ではなく手取りで判断する

  • 賞与は12分割して、月額の収入にプラスする

  • 医療費・教育費等の支出がある場合、月額の収入からマイナスする

まず、毎月の収入は額面ではなく”手取り”の金額を見て判断します。

例えば、額面23万円、所得税等が差し引かれた後の金額が18万円の場合、あなたの「収入」は18万円となります。

手取り月収は、原則として直近2ヶ月の給与明細書の額を基準とします。先月の手取りが18万円なら「収入」は18万円です。

次に、勤め先から賞与(ボーナス)をもらっている場合、これも12分割して「収入」にプラス(加算)します。

例えば、毎年36万円の賞与をもらっている場合、毎月の手取り金額に3万円(36÷12=3)をプラスします。

先の例では、手取り金額18万円に3万円をプラスした21万円があなたの毎月の「収入」となります。

他方、医療費や教育費、その他職業上やむを得ない出費(継続的に支出するものに限る)がある場合、その金額を手取り金額からマイナス(控除)します。

例えば、子どもが一人いて毎月学校の授業料に3万円かかっており、また喘息持ちで毎月医療費として5,000円支出している場合、35,000円をマイナスします

以上3つの視点から計算された後の金額があなたの「収入」となります。 先の例でいえばあなたの「収入」は17万5,000円(21万円-35,000円)となります。

その収入が、表にある基準値以下であれば、収入要件を満たします。

次からの項目は、表のうち「どの部分を読めばよいのか」にかかわることです。

②「家賃・住宅ローン」を支払ってるか

あなたが賃貸物件の家賃または持ち家のローンを支払っている場合、収入の上限額は引き上がります

表でいうと「家賃or住宅ローンの負担がある場合」の列を見る形となります

例えば、板橋区在住の独身の方の場合、家賃を支払っていないときは20万200円が上限額になりますが、支払っているときは25万3,200円が上限になります。

上限額が上がる理由は、家賃等を負担している人はそうでない方に比べ表面的な収入が高い傾向にあります。

ですが、支出額も大きいため手元に残る金額は実質同じになることが多い。それなのに、同じ上限金額を適用するのは不公平だからです。

③「同居の家族」は何人か

あなたと「同居する家族」の数に応じて、収入要件の上限額は引き上がります。

「同居の家族」とは、あなたのほか、あなたと同居する配偶者(内縁含む)及び以下に該当する”扶養家族(主に子ども)”を指します。

【扶養家族】

  1. 申込者又は配偶者と同居している。

  2. 申込者又はその配偶者から生活費の主たる部分が賄われている

  3. 年間収入が103万円以下(賞与を含めた平均手取月収が74,000円以下)

例えば、あなたが夫とその子どもと暮らしている場合、小さなお子様であれば103万円も稼いでいることはないので、「同居の家族」はあなた+妻+子どもの3人となります。

表で言うと「3人家族」の行をみる形となります。

ただし、離婚トラブルなど配偶者(夫・妻)が相手方となる事件を相談する場合には、その配偶者の収入を合算しません

例えば、あなたにお子様がいて、夫の不倫について法テラスで相談する場合、「同居の家族」の人数は3人ではなく、夫の数は除外して2人となります。

トラブルの相手方の収入まで合算するのはおかしいからです。

④住んでる地域が「生活保護法の一級地」か

最後に、あなたが住んでいる地域が東京23区のような「生活保護法の一級地」かどうかにより、収入要件の上限額が引きあがります

「生活保護法の一級地」とは、生活保護を支給する文脈で使われる居住場所のランクで、他の地域よりも物価・生活水準が相対的に高い地域を指します。

物価が高い地域ではそこに住む方の収入も表面的には高くなりますが、生活する上での支出額も他の地域よりも大きいため、結局、手元に残るお金は同じ。

それなのに同じ収入要件の上限額をあてはめるのは不公平です。その格差をならすために、生活保護の一級地については、他の地域よりも収入要件の上限を引き上げているのです。

以下の表を見て、あなたの住まいが「生活保護の一級地」にあたるかを確認してください。

なお、生活保護法の一級地は「一級」といっても東京23区全域が含まれるなど意外に広いため注意が必要です。

【生活保護法の基準に定める一級地】

都道府県

市町村名

東京都

区の存する地域(23区)

八王子市

立川市

武蔵野市

三鷹市

府中市

昭島市

調布市

町田市

小金井市

小平市

日野市

東村山市

国分寺市

国立市

福生市

狛江市

東大和市

清瀬市

東久留米市

多摩市

稲城市

西東京市

青梅市

武蔵村山市

神奈川県

横浜市

川崎市

鎌倉市

藤沢市

逗子市

大和市

三浦郡 葉山町

横須賀市

平塚市

小田原市

茅ヶ崎市

相模原市

三浦市

秦野市

厚木市

座間市

埼玉県

川口市

さいたま市

所沢市

蕨市

戸田市

朝霞市

和光市

新座市

千葉県

千葉市

市川市

船橋市

松戸市

習志野市

浦安市

大阪府

大阪市

堺市

豊中市

池田市

吹田市

高槻市

守口市

枚方市

茨木市

八尾市

寝屋川市

松原市

大東市

箕面市

門真市

摂津市

東大阪市

岸和田市

泉大津市

貝塚市

和泉市

高石市

藤井寺市

四條畷市

交野市

泉北郡 忠岡町

兵庫県

神戸市

尼崎市

西宮市

芦屋市

伊丹市

宝塚市

川西市

姫路市

明石市

京都府

京都市

宇治市

向日市

長岡京市

滋賀県

大津市

愛知県

名古屋市

広島県

広島市

呉市

福山市

安芸郡 府中町

岡山県

岡山市

倉敷市

福岡県

北九州市

福岡市

宮城県

仙台市

北海道

札幌市

江別市

住まいの地域が生活保護の一級地なのかが決まれば、後は下記資力基準の表のうち、該当する部分のマスをみてください。

書かれた収入要件の「上限金額」と、計算した「収入」とを比較し、上限金額を下回っていれば収入要件はクリアです。

【資力基準】

​​東京23区

同居の家族

手取り収入

家賃or住宅ローン

の負担がない場合

手取り収入

家賃or住宅ローン

の負担がある場合

資産要件(預金など)

単身者

20万200円以下

25万3,200円以下

180万円以下

2人家族

27万6,100円以下

34万4,100円以下

250万円以下

3人家族

29万9,200円以下

38万4,200円以下

270万円以下

4人家族

32万8,900円以下

42万900円以下

300万円以下

​​東京23区以外の「生活保護の一級地」

同居の家族

手取り収入

家賃or住宅ローン

の負担がない場合

手取り収入

家賃or住宅ローン

の負担がある場合

資産要件(預金など)

単身者

20万200円以下

24万1,200円以下

180万円以下

2人家族

27万6,100円以下

32万9,100円以下

250万円以下

3人家族

29万9,200円以下

36万5,200円以下

270万円以下

4人家族

32万8,900円以下

39万9,900円以下

300万円以下

上記以外の地区

同居の家族

手取り収入

家賃or住宅ローン

の負担がない場合

手取り収入

家賃or住宅ローン

の負担がある場合

資産要件(預金など)

単身者

18万2000円以下

23万3,000円以下

180万円以下

2人家族

25万1000円以下

30万4,000円以下

250万円以下

3人家族

27万2000円以下

33万8,000円以下

270万円以下

4人家族

29万9000円以下

37万円以下

300万円以下

2)資産要件について

法テラスの「資産要件」

法テラスを利用するためには、収入要件だけでなく、資産要件もクリアする必要があります。

「資産要件」とは、あなたと配偶者(内縁を含む)の現金及び預貯金を合計した金額が一定の基準額を下回ることをいいます。

手元にある現金と銀行に預けている預貯金の金額を足し算して、資産要件の下記表の金額を下回っていれば資産要件はクリアです。

下記の表は、収入要件と同じく「同居の家族」の数に応じた資産要件の基準額を示したものです。

【資産要件】※資力基準の表からの抜粋

同居の家族

資産要件

(現金・預貯金等の合計)

単身者

180万円以下

2人家族

250万円以下

3人家族

270万円以下

4人家族

300万円以下

例えば、独身男性が借金の無料相談を希望する場合、資産要件の基準額は180万円以下です。

預貯金等が50万円しかないといったケースでは、資力要件はクリアとなります。

なお、法テラスで無料相談をするだけでなく、実際に弁護士に依頼して費用の立替えを希望する場合、「資産」の計算においては、現金・預貯金のほか”有価証券・不動産”等の時価も合算されることには注意が必要です。

また、以下の金額は「資産」の計算からはマイナス(控除)されます。

  • 医療費,教育費控除、その他職業上やむを得ない出費

  • 配偶者が紛争の相手方であるときの配偶者の資産

  • 生活のために必要な住宅及び農地

  • 係争物件である資産

特に、あなたの「資産」から配偶者が紛争の相手方であるときの配偶者の資産をマイナス(控除)するルールが大事です。

例えば、あなたが夫との離婚トラブルを相談する場合、夫の持つ資産は計算に入れません。

あなたが預貯金100万円、夫が120万だった場合、資産の合計は一見すると220万円です。資産要件の基準額180万円(※離婚の場合「単身者」を見る。夫の数は同居の数にカウントしないから)を上回るため、資産要件をクリアできないようにみえます。

ですが、基準となる「資産」からは旦那の120万円をマイナスするのが正しく、あなたの資産は100万円で計算します。

この額は180万円を下回っているため資産要件を満たし、法テラスを利用できるのです。

3)資力基準をカンタンに確認する方法

これまで資力基準を下回るかどうかをあなた自身が判断するための方法を解説してきました。

ですが、それでも資力基準を満たすのかわからない、不安だという方は、法テラスが用意する「要件確認体験ページ」をみてください。

こちらでは、あなたの「収入」などの入力欄があり、ひとつひとつ入力していけば資力基準を満たすかどうか一目でわかります。

また、それも面倒だという方は、法テラスのサポートダイヤル(0570-078374)へ電話してみましょう。

専門のオペレーターが案内してくれます。

【法テラスサポートダイヤルの受付日時】

受付日

受付の時間帯

平日

9時~21時

土曜日

9時~17時

日曜・祝祭日

お休み

3.法テラスを利用するための他の2つの利用条件

法テラスの利用条件のうち資力基準以外の2つの条件

法テラスの利用条件のうち資力基準をクリアすれば、通常法テラスを利用できます。

利用条件としては残り2つありますが、資力基準以外の2つの利用条件ははさらっと確認する程度でよいです。

1)民事法律扶助の趣旨に適すること

「民事法律扶助の趣旨に適すること」は、弁護士への依頼が相手への嫌がらせのみを目的にするなど法的サポートをするにはふさわしくない依頼を排除するための条件です。

嫌がらせ目的「のみ」を持っている場合がアウトなだけで、そういった目的が他のまっとうな目的と併存していれば問題ありません。

以下のような依頼が「民事法律扶助の趣旨に適していない」として、法テラスを利用できない例です。このような依頼でない限り、この条件はクリアとなります。

【民事法律扶助の趣旨に適していない例】

  • 援助を受けることが法律上、経済上の利益に向けられていない場合(単に報復的感情を満たすだけなど) 

  • 社会正義若しくは法に照らし援助するのが適当でない場合(権利濫用的な訴訟など)

  • 極端に請求金額が少ない訴訟

  • 相手方の資産状況等から回収可能性がない場合

  • 返済の意思を持たない方

ここまで条件をクリアすれば法テラスを利用でき、弁護士に無料で相談できます。

ただし、弁護士用の立替えまでしてもらいたい場合、さらに以下の条件をクリアする必要があります。

2)勝訴の見込みがないとはいえないこと

「勝訴の見込みがないとはいえない」とは、弁護士等をつけて訴訟、調停、和解、示談交渉等の手段をとることで紛争解決の見込みがあること、または、それらの手段を通じてあなたの法律上の利益の獲得が期待できることを意味します。

弁護士をつけて訴訟等を起こしても、そもそも解決できないような案件や裁判による解決に馴染まない悩み事についてまで、法テラスがサポートをするのは不適切だからです。

例えば「旦那が社会不適合者であることの認定を求めたい」とか「自分の考えが正しいことを認めてもらいたい」といった案件は、裁判による解決に馴染まず、勝訴の見込みはないといえます。

なお、勝訴の見込みが「あること」まで証明する必要はないため、通常のトラブル事例であればこの条件はクリアできます。

資力基準を含め、以上3つの利用条件を満たすと弁護士への無料相談はもちろん、弁護士費用の立替えまで依頼することができます。

4.法テラスでできること(メリット)

1)幅広く弁護士に相談できる

法テラスでは、刑事トラブルに関するものを除き、法律に関するお悩み・トラブルであれば幅広く弁護士に相談できます。離婚、借金、労働トラブルなど様々なお悩みに対応しています。

2)無料相談│30分×3回(合計90分)

法テラスでは弁護士に無料で相談できます。

しかも1回につき30分、ひとつのお悩みについて合計3回(合計90分)まで無料相談ができます。

通常、弁護士の相談料の相場は30分で5,500円【税込】かかります。

90分も相談できてそれが無料になる法テラスは、圧倒的にお得といえるでしょう。

3)電話相談もできる

法テラスでの弁護士への相談方法は、対面が原則ですが電話による無料相談も受け付けています。

忙しくて日中に足を運べない方やお身体の不自由な方でも手軽に相談できるような配慮がされています。

4)弁護士費用が約半額になる

法テラスを利用すると「弁護士費用」が民間の弁護士に依頼した場合に比べ”およそ半額”まで安くなります

ただし、お悩みやトラブルごとに具体的にどのくらい安くなるのかは異なります。

お悩みごとの弁護士費用の目安を法テラスを利用した場合・利用しない場合に分けて示した表を作成しましたのでチェックしてみてください。

【法テラスを利用した場合の弁護士費用の目安】

お悩み

費用の種類

法テラス”あり”

法テラス”なし”

離婚

(調停)

実費

20,000円

着手金

110,000円

220,000円

成功報酬

88,000円 or 回収金の10%

(いずれか大きい方)

210,000円

合計

104,000円

450,000円

相続

(遺産分割)

実費

35,000円

着手金

242,000円

530,000円

成功報酬

88,000円 or 回収金の10%

(いずれか大きい方)

180,000円+回収金の10%

合計

277,000円〜

565,000円〜

借金

(債務整理)

実費

25,000円

着手金

15,4000円

180,000円

成功報酬

88,000円 or 回収金の10%

(いずれか大きい方)

340,000円

合計

26,7000円〜

550,000円

借金

(自己破産)

実費

23,000円

着手金

132,000円

270,000円

成功報酬

0円(なし)

50,000円

合計

155,000円

343,000円

家賃滞納

(明渡し)

実費

35,000円

着手金

200,000円

260,000円

成功報酬

88,000円 or 回収金の10%

(いずれか大きい方)

200,000円

合計

323,000円〜

495,000円

労働問題

(解雇)

実費

20,000円

着手金

110,000円

210,000円

成功報酬

88,000円 or 回収金の10%

(いずれか大きい方)

380,000円

合計

218,000円〜

610,000円

法テラスを利用した場合の弁護士費用について詳しく知りたい方は、こちらの記事をあわせてご覧ください。

5)弁護士費用を立替払いしてくれる

法テラスでは、弁護士に無料で相談できるだけでなく、弁護士費用の立替払いまでしてくれます。

本来、弁護士に依頼する際には、着手金を中心とした弁護士費用を支払う必要があります。法テラスでは、この着手金等をあなたに代わって弁護士に支払います。

その結果、あなたは弁護士に依頼する際には1円も支払う必要がないのです。

いくら割安になっているとはいえ、10万円以上かかる弁護士費用をすぐに用意するのも大変です。

そのような方にとってこの立替払いは強い味方といえるでしょう。

①月5,000円からの分割返済が可能

一時的に立て替えてもらった弁護士費用は、最終的には法テラスへ返済する必要があります。

返済金額は、あなたの経済状況により毎月5,000円または1万円ずつを分割返済する形です。

弁護士・法テラスと契約してから2ヶ月後から支払いがスタートして、事件終了後から原則3年以内で完済します。

【法テラスへの返済条件】

返済条件

詳細

一括/分割

月々の分割払い

返済方法

指定口座からの引き落とし

返済金額

5,000円 or 10,000円

利息

なし

手数料

引き落とし手数料

ゆうちょ銀行…32円

ゆうちょ銀行以外の金融機関…40円

返済開始時期

契約後2ヶ月時点〜

引落し日

毎月15日/25日/27日

返済期間

事件終了から3年以内

弁護士業界では、弁護士費用の分割返済を認める弁護士はほとんどいないため、分割返済にしてくれる法テラスは圧倒的にお得といえます。

しかも、返済金額に利息や手数料もつかず、生活困窮者によりそったサービスになっています。

②生活保護者等は返済が免除されることもある

生活保護を受給して生活している方など、分割払返済すら難しい経済状況の方については、

支払いの猶予・免除まで認められる場合があります。

特に免除については、生活保護を受けている方であれば、以下の書類を法テラスへ提出することで弁護士費用が免除されます。

【生活保護受給者の免除申請書類】

  • 償還免除申請書

  • 生活保護受給証明書(直近3カ月以内)

→「償還免除申請書」はこちら

他方、生活保護を受けていないがそれに匹敵するほど経済的に苦しい状況にある方についても、弁護士費用が免除されることがあります。

弁護士費用の免除を受けるための方法に関して、より詳しく知りたい方は以下の記事をあわせてご覧ください。

5.法テラスのデメリット

弁護士への無料相談から弁護士費用が半額になるなど、メリットだらけにみえる法テラス。

ですがいくつかのデメリットもあります。

1)弁護士を選べない

法テラス最大のデメリットは、あなたが弁護士を選べないことです。

そのため、若くて経験の浅い弁護士や相談したい分野に強くない、専門性の乏しい弁護士が担当につく可能性があります。

例えば離婚トラブルなら離婚に強い弁護士を選びたいところですが、それはできないのです。

【こんな弁護士になるかも…】

  • 若くて経験の浅い弁護士

  • 相談内容に強くない弁護士

  • 希望しない性の弁護士(男性・女性)

とはいえ、相当複雑な案件でない限り、実務能力にそこまでの差が出ることは少ないでしょう。

また後で説明する「持ち込み方式」であれば、好きな弁護士を選びつつ法テラスのメリットを得られる方法があるので、ご安心ください。

2)書類審査があること

法テラスで無料相談をする際には、3つの利用条件をクリアしているのか審査があります

弁護士への無料相談だけ希望するなら、相談の予約をする際に”口頭で”確認をとられるだけの簡易的な審査にとどまります。

これに対して、弁護士費用の立替まで依頼する場合には書類審査(⇔口頭審査)をクリアしないといけません。

必要書類はそれなりにあり、収入・資産を証明する書類や家庭の状況を示す書類などです。用意するのが面倒くさく感じられる点がデメリットです。

審査に必要な主な書類は以下のとおりです。

【審査の必要書類の例】

書類の種類

提出が必要な人

備考

資力を証明する書類

収入がある人

具体例

給与明細・賞与明細

源泉徴収票

課税証明書or非課税証明

確定申告書の写し

生活保護受給証明書

生活保護受給者

援助申込みから3ヵ月

以内に発行されたもの

世帯全員の住民票の写し

全員

本籍、筆頭者及び続柄の

記載のあるもの

※マイナンバーの記載がないもの

これらは一例にすぎず、あなたの収入や生活状況、弁護士への依頼内容などにより必要書類が変わります。

詳しくは、実際に依頼するときにされる法テラスからの案内に従いましょう。

審査を通過できたら、法テラスまたは契約する弁護士からあなたに審査を通過した旨の連絡が来て、弁護士費用の立替が行われます。

法テラスの書類審査や必要書類について詳しく知りたい方は、以下の記事をあわせてご覧ください。

3)すぐに弁護士に依頼できない

必要書類をやっとこさ集めても、法テラスはすぐに審査結果を出してくれません。

法テラスの審査期間はおよそ2週間。申請が混雑している場合、お盆やお正月、祝日といった期間を挟む場合であれば、1ヵ月程度かかることもあります。

審査結果が出るのが遅いことは、それだけ依頼を受けた弁護士が解決に向けて動き出すタイミングが遅くなるということです。

先に触れたように、審査の必要書類もそれなりの量があるため、書類集めにも相応の時間を割かないといけません。

これらのことから「すぐにでもトラブルを解決したい」という方には、法テラスを通じて弁護士に依頼する方法は適さないでしょう。

6.法テラスの利用手続き

まず、法テラスは予約制です。

電話をしてすぐに弁護士に相談できたり、依頼できるわけではありません。予約の方法は以下の2つの方法があります。

  • 法テラスへ予約:あなたが法テラスへ連絡する

  • 持ち込み方式:弁護士が代わりに法テラスへ連絡する

あなたの希望や状況にあった方法を選びましょう。

それぞれの概要を解説します。

なお、法テラスの利用手続き・流れについて詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

1)法テラスへ予約する場合の流れ

法テラスへの予約 (法テラスの施設で無料相談する場合)

①法テラスに連絡して予約する

予約方法が電話予約がスムーズです。

電話予約は、法テラスのサポートダイヤル(0570-078374)へ電話をかけるだけでカンタンにできます。

電話をする際には、弁護士への法律相談を希望している旨お伝えすれば、専門のオペレーターが手続きを案内してくれます。

この中で、利用条件についての簡易的な審査、日程や面談する法テラスの施設(「お近くの法テラス」)を調整します。

【法テラスサポートダイヤルの受付日時】

受付日

受付の時間帯

平日

9時~21時

土曜日

9時~17時

日曜・祝祭日

お休み

②面談当日:弁護士への無料法律相談

オペレーターと話して無事予約がとれたら、指定された日時に決められた法テラスの施設へ行きます。

相談開始時刻の10分前までには到着しておきましょう。

理由は、受付に着くと「援助申込書」という書類の記入が必要になるため、その記入時間を確保するためです。

③面談後:弁護士費用の立替えを申請する

弁護士への無料相談の中で、以下の点が明らかになるでしょう。

  • 弁護士に依頼すべきほどの案件か

  • 弁護士費用の立替えができる事案か

担当弁護士のアドバイスを参考に、弁護士へ依頼する場合には、法テラスへ改めて弁護士費用の立替えを申請することになります。

2)「持ち込み方式」の流れ

法テラスの利用手続き「持ち込み方式」

「持ち込み方式」とは、あなたの選んだ弁護士があなたに代わって法テラスの利用を申請する方法です。

順番としては、あなたが好きな弁護士事務所をネットなりで探し、弁護士に相談をします。

その弁護士が法テラスと契約した「契約弁護士」であれば、法テラス希望案件として、その事務所があなたに代わり法テラスへ利用申請してくれます。

弁護士を外から連れてくるという意味で「持ち込み」という言葉が使われています。

持ち込み方式であれば、弁護士が選べないという法テラス最大のデメリットを解消しながら、法テラスのメリットを享受できるためおすすめです。

①弁護士事務所に連絡して予約をする

持ち込み方式では、まずはあなたの希望する弁護士事務所を探します。

法テラスの契約弁護士でないと、法テラスを利用できません。

そのため、その事務所が法テラスに対応しているのかについては、ホームページや電話予約の際に確認してください。

契約弁護士だった場合、法律相談の予約を申し込みます。

予約の際には「法テラスを利用したい」旨伝えてください。

②面談当日:弁護士事務所で無料法律相談する

予約した当日に弁護士事務所へ行き、弁護士に法律相談をします。

担当弁護士が契約弁護士であれば、当日の法律相談は無料になります。

③面談後:弁護士が法テラスに利用申請してくれる

持ち込み方式では、法テラスへの利用申込みは相談した弁護士が行ってくれます。

あなたが法テラスに対してすることは特にありません。

とはいえ、法テラスの利用条件を満たすかの審査は変わらず行われます。

審査書類も必要になるため、弁護士から指定された書類を用意しましょう。

7.法テラスを活用するために準備すべきこと

法テラスの無料相談は30分×3回と時間が限られています。

そのため、法テラスの無料相談を最大限活用するために、以下の事前準備が不可欠です。

  • 質問をまとめておく

  • 時系列表にしておく

  • 援助申込書を前もって書いておく

それぞれについて解説していきます。

1)質問をまとめる

弁護士への質問は2〜4つ程度に絞りましょう

時間が限られている中でたくさん質問をしているとすぐに相談時間が終わってしまうからです。

  • セックスレスで離婚できるか?

  • 遺言書がない場合どう財産を分ける?

  • 借金の返済額を減らせないか?

質問は、具体的であればあるほどよいです。

2)相談の背景を時系列で話せるようにしておく

あなたの抱える法的なお悩みについて、弁護士が適切なアドバイスをできるよう、その背景や事実関係を正確に話せるようにしておきましょう。

事実関係は、時系列ごとに伝えるのがベストです。

また離婚や相続トラブルでは、事実を「証明」する必要があります。

そのため、事実を裏付ける「証拠」がどれくらいあるのかも事前に整理しておきましょう。

マチベン!編集部では、事実を時系列にまとめるのに役立つ「マチベン!時系列表シート」を提供しています。

ぜひご活用ください。

以下よりダウンロード;

3)援助申込書を事前に記入する

援助申込書」とは、法テラスで無料相談を受けるために、法テラス窓口へ提出が必要な申込書のことです。

面談当日に、法テラスの窓口へ行くと申込書の紙を渡されるので、その場で記入してもかまいません。

ですが、当日慌てないためにも、事前に記入しておくとスムーズです。

プリントアウトして必要事項を記入し、相談当日に持参しましょう。

以下よりダウンロード;

→「援助申込書」はこちら

なお、法テラスを利用する際の準備・注意点については、以下の記事でさらに詳しく解説しています。

よくある質問

法テラスの利用条件に関してよくある質問をいくつかピックアップしました。

Q

収入要件について嘘をついたらバレますか?

結論、バレます。たしかに弁護士への無料相談を利用できるか審査する際には、収入要件は口頭で審査されるためバレにくいともいえます。ですが、弁護士に依頼する段階に来て、弁護士費用の立替えを申請する際には書類審査があります。この段階で、収入について口頭で述べたことと明らかなズレがある場合、虚偽申告だったことがバレるでしょう。

Q

資産要件について、貯金額について嘘をついたり資産隠しをしたらバレますか?

結論、バレます。収入要件と同様に、弁護士費用の立替えを申請する際には書類審査があります。この段階で、預貯金について口頭で述べたことと明らかなズレがある場合、虚偽申告だったことがバレるでしょう。

まとめ

法テラスを利用するためには、以下3つの利用条件をクリアする必要がありました。

  1. 資力基準(要件)

  2. 民事法律扶助の趣旨に適すること

  3. 勝訴の見込みがないとはいえないこと

この中でも大切なのは「資力基準(資力要件)」をあなたが満たすのかという点です

資力基準はあなたの手取り収入(「収入要件」)と資産(「資産要件」)が一定の金額を下回った場合に、法テラスの利用を認めるものです。

本文にある資力基準の表を見て、あなたの手取り収入と資産(現預金など)が該当するマス記載の金額以下であれば、資力基準を満たし法テラスを利用できます。

資力基準の表のうちどこを見るべきかについては、あなたの「同居の家族」、「家賃等の支払いをしているか」や「どこに住んでいるか」などの要素によって変わります。

あなたが利用条件を満たしているか不安な場合には、法テラスの「要件確認体験ページ」か、サポートダイヤル(0570-078374)へ電話すれば条件の該当性がわかるのでご安心ください。

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